|
|
 |
|
|
|
 |
ヘンプが今期待されているのと同様、ピーナッツから様々な製品を開発でき、人間の食料がまかなえると提言した植物学者、ジョージ・ワシントン・カーヴァー1864-1943 |
|
|
|
ヘンプは未来普遍の素材 |
その利用価値、環境に対する影響、エネルギー効率等の観点からみて、ヘンプはこれからの地球環境に欠かせない物となると言われています。
大麻(ヘンプ)は薬物として敬遠されているマイナスイメージがあるとしても、徐々に有用性が真に評価されつつあります。ここで取り上げる「産業用ヘンプ」の茎や種から取れる繊維や油は私達の身の回りにある様々な製品に応用する事が出来ると言われています。その代表的なものは食品や衣類、プラスチック材料や燃料等です。
例えば、「衣」では衣服はもちろん、バックやアクセサリー、「食」では栄養価に富む麻の実からも色々な食品ができるでしょう。もう既に先駆者たちの努力により麻の実油、お蕎麦、ビール、などいくつか価値ある製品ができています。「住」では化粧品、生活用品(石鹸やシャンプー)、建築材(断熱材として。アスベストの代わりにもなるのでは?)、生分解性プラスチックなど。「エネルギー」ではディーゼルエンジンの燃料(バイオディーゼル燃料)などなど。
また、農業上の利点も数多くあり、農薬いらずで早く丈夫に育つ事や連作も可能と言う事から、バイオマス的にも注目されています。
アメリカ全土のほんの6%の土地でヘンプを栽培するだけで、アメリカの全てのガソリンやオイルなどのエネルギー供給がまかなえ、化石燃料への依存を絶つことができます。
ヘンプは地球上で最上級のバイオマス資源です。約4キロ平方メートルの土地で、1シーズン(約4ヶ月)で10トンのヘンプを生産することができます。またヘンプの根は硬い土壌でも容易に浸透し、その葉は密生し日光を遮断し大地の湿気を保つので、半乾燥地帯でも充分に収穫する事ができます。
農業者の視点からは、麻は栽培・収穫しやすく、とうもろこし、小麦、オートなどの栽培地でも育てることもでき、実質上ほとんどの土地で栽培できると言われています。また、その生育期は、他の植物の収穫後でも栽培できるほど短期間です。麻の長い根は土に張り巡らされ、硬い地盤層を砕き、翌年の収穫期のために良い状態の畑を作り出します。地上3~4mまで育つ(最高9mが確認されている)密生した葉は日光を遮断し雑草の生える余地を与えないので農薬や除草剤等の化学物質を必要としません。
今日使用される綿製品はその生産過程において未だに多大な量の化学薬品を必要とする古典的な方法を続けていますが、その耐久性、厚さややわらかさにおいてヘンプ製品には及びません。また、ヘンプは荒廃し、見捨てられた不毛の地で栽培する事によって土地をよみがえらせます。
1エーカー(約4086.8㎡)の土地で収穫されるヘンプから獲れるセルロース繊維やパルプは4.1エーカー(16 592.1113㎡)もの土地を使用する木材のそれと匹敵します。ヘンプは看板や建材用パネルやコンクリート用の型材、在来船の荷役時に使用するクッション剤、荷物運搬時に使用する木材パレット等の材料として木材に代わることができる最も優れた素材です。
実際、ヘンプは耐火性の安価な建材で保温や防音においては最良の素材です。これらは強度があり、ヘンプ繊維を加熱・圧縮し作られます。ベニア板や壁板として木材に取って代わる事ができます。米国ではヘンプ製材が建築材として(梁にも充分に使える)の強度・柔軟性が木材及び木材繊維より優れていてコスト面でも経済的だということが立証されました。
“Iso-chanvre”(シャンブルはフランス語でヘンプ)というフランスのヘンプ建材(ヘンプと石灰から作られ、鉱物状に固まり耐久性に優れ何世紀もの間存在する)がフランスで再発見されています。フランス南部ではこの方法により作られた橋が考古学者によって発見されました。
西洋では、長い歴史においてカーペットのベースにヘンプを使ってきました。ヘンプ繊維はその腐食性や強度においてカーペットの基礎素材としても非常に優れ、有毒な化学合成の建築材料によるシックハウスなどを無くす事ができます。長期において有毒ガスを発し、アレルギー反応を起こす合成材で加工されたカーペットもヘンプカーペットにとって代えればその悪影響を減らす事ができます。
また、配管用のポリ塩化ビニールパイプはヘンプのセルロースを再生したもので代用できます。これにより石炭や石油ベースの化学物質の流出を減らす事ができます。
このように、家屋の壁、柱、塗装そして内装にヘンプという再生可能な最良の素材を使うということで私達は家屋建築の未来像を垣間見ることができます。
私達は、市場経済において人々が求めるものは、長持ちし、無害物質に還元できるものであると信じています。その意味で、今、資本主義が試されています。市場経済の自由化と共に環境への意識が未来の地球を創ります。
米国では1776年には綿のシャツは100ドル~200ドルもしました。その当時のヘンプのシャツはわずか50セント~1ドルでした。1830年代、米国政府の助成金により、より涼しくて軽い綿のシャツがより暖かく強いヘンプのシャツとほぼ同等の値段になりました。当時、人々は衣服を素材の質に求め、そのどちらをも選ぶことが可能でした。しかし今ではそれほど簡単にはいきません。土地を汚染し、環境へも悪影響を与える化学肥料を必要とする一般の綿栽培のために多くの国の政府は未だに多くの助成金を与えています。一方でヘンプの栽培が禁止されるなか、ヘンプを採用することによるコスト削減、環境への貢献等の事実は隠され続けてきました。しかし、今この認識は変わりつつあります。
ヘンプや他の天然繊維の用途は需要と供給の原理、人々の趣向や価値観で定められるべきで、政府の不当な禁止政策で左右されてはならないでしょう。また、多大な助成金や税などは汚染されていない土地を守る事と合成繊維から天然繊維への移行を促す為に使われるべきです。
60年間ものあいだの政府のヘンプに関する情報の抑制は、ヘンプ繊維の非常に優れた用途や将来性についての社会的な知識を無くしてしまいました。
100%ヘンプまたはヘンプ配合の綿生地によるシャツやパンツ、その他の衣服は世代を越え孫の代でも使うことができます。上手な消費とはナイロンやポリエステル等の化学繊維への依存を少しずつ減らしていき、より強く、安価で、吸収性と通気性に富み無害物質に還元できるヘンプや亜麻のような天然素材に代えていくことでしょう。
中国やイタリア、またハンガリーやルーマニア、チェコ、スロバキア、ポーランドやロシア等の東欧諸国では現在、丈夫なヘンプやヘンプ・コットン混合織物により数億円もの利益を上げ、今後も年間数千億円規模の利益を得るだろうと予測されます。これらの国々は伝統的な麻の栽培技術や紡織技術の上に成り立っている一方、米国や日本などでは合成技術の急激な促進により、それらの伝統技術は退化してしまっています。
さらに、ヘンプ燃料は、エネルギー産業界に年間数百兆円分の燃料を供給し大気の浄化に多大な貢献をもたらし、地方やその周辺地域にも富をもたらし、エネルギー産業の独占支配を終わらせることもできます。ヘンプは他のどの植物よりも経済と環境に貢献する事ができます。
1つだけ解っていることがあります。世界中の紙や繊維を供給するだけの能力を持ち、世界中の交通、産業と各家庭のエネルギー需要を満たし、同時に汚染を無くし、土地を再生し、大気を浄化する、毎年生産することができる天然資源...それはかつてのものと同じもの...ヘンプです。
こうしてみると、現在の日常生活にあふれている多くのものに「産業用ヘンプ」を原料とする事ができます。また、もとは植物ですから、人体の影響も少なく地球環境汚染の防止にも役立てられますよね。しかし、日本ではこれはまだ極わずかな需要であり、これらを一般生活に取り入れていくにはまだまだ沢山のハードルがあるというのが現実です。まずは、大麻=麻薬という単純なイメージをなくしていくことが第一の課題と言えます。今日、日本でも「麻」の第一人者達がその課題に取り組んでいます。
|
|
|
|